タスマニア再発見

豪州国内で毎月発行されている日豪プレス紙と同時掲載でお送りする新特集
当社代表の千々岩 健一郎が同紙に連載する新しいコラムです。
タスマニアの魅力を新しい切り口で紹介するこのコーナーをどうぞお楽しみください。

第58回日豪プレス 2013年6月号掲載 長老杉の森 キングビリートラック

「パイン」というと日本の方は松の木のことと思われるようだが、当地ではふつう針葉樹全般のことを意味する。今回のテーマはキングビリーパイン。松ではなく杉の仲間である。

タスマニアでもっとも人気の高い宿泊施設のひとつ、クレイドルマウンテンロッジの裏山にキングビリートラックと名づけられた素晴らしい森歩きの散策路がある。一周1時間弱の良く整備された木道のコースで、一歩立ち入ると暗く湿った深い森、冷温帯の降雨林だ。レインフォレストでもステージの進んだ森で、潅木は少なく瘤の無数に付いた常緑南極ブナ(マートルビーチ)の老木とその倒木が苔むした姿で存在する神秘的な場所だ。この年老いた南極ブナもいいけれど、この森の見所は樹齢1500年以上といわれるキングビリーパイン。森の入り口の部分にはこの木は存在せず、トラックを上り詰めた標高の高いところからようやく出現する。標高600m以上、かつ湿り気の多い南向き斜面の森や渓谷沿いにのみ存在している。そうキングビリーパインは今やタスマニアでも雨の多い西部の標高の高いレインフォレストの中にしか生き残っていない貴重なゴンドワナ起源の植物なのだ。
杉の古木といえば屋久島だが、縄文杉は何時間もかけて山登りをしないと到達できないところにあるのに、このタスマニアではわずか30分ほど歩いただけで同様の大木に出会うことができる。

腐りにくい性質のため、タスマニアの銘木ヒューオンパインと同様にかっては船を建造する材料として使われた。クレイドルの国立公園の父といわれるグスタフウエインドルファーが造ったワルドハイムの山小屋や、今でもダブ湖の湖畔に残るボート小屋などもこの木で造られた。国立公園を縦走するオーバーランドの木道やスノーポールもこの木で作られていたがさすがに最近はスチールや防腐処理を施した松材に取って代わられている。国立公園局では、この交換費用に当てるために地衣類の張り付いた古いポールを販売し、私自身も思わず購入して家の中に飾ってある。成長が遅いため、いったん山火事にあうと復活するのはまず不可能に近い。いまや、このキングビリーは「オーストラリアの危機に瀕する植物リスト」のひとつにも掲載されている。

クレイドル訪問の折には、忘れずこのトラックを歩いて、この長老格のキングビリーに出会ってほしい。この幻想的な森に生き残る長老杉の精気をもらえば長生きできること請け合いだ。

上の写真:キングビリートラック途上。中央が最高部にある樹齢1500年のキングビリー
下の写真:トラック後半、森を抜けるとコーラルファーンの草原。クレイドルが展望できる。


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