”フクロ”の中はどうなってる？

”フクロ”は本当は”育児嚢”と言います。読んで字のごとく、子供を育てるための袋。その機能が気になりますね。上記でもあるように赤ちゃんが栄養を採れるように中には乳頭があります。乳頭の数は種によって２~１３個ですが、４つが最も多いようです。生まれたばかりの赤ちゃんは毛どころか目も指もないような状態のままフクロを目指して移動します。無事に袋に入り乳頭にたどり着ければ一安心。しかし、全ての赤ちゃんがオッパイにありつけるわけではありません。詳しい理由は分かっていませんが、出産する数が乳頭よりも大幅に多い種が多いのです。例えばタスマニアンデビルは乳頭４つに対し出産数が４０。３６匹はそのまま死んでしまいます。逆にカンガルーやウォンバットなどは乳頭４つに対して１頭、または２頭しか赤ちゃんを産みません。種によって異なる育児戦略をとっているのです。またフクロの入り口の”向き”も生態によって異なります。カンガルーなどは直立に近いため上向きに、ウォンバット等四足歩行型はゴミや土が入らないように後ろ向き、コアラは落ちないよう前向きにとそれぞれに合わせた形をとっています。

もうすぐフクロ立ちが近いかな？

フクロは赤ちゃんが大きくなるに合わせある程度の大きさまで広がりますが、限界があります。たまにフクロに入ろうとする子カンガルーを嫌がるお母さんカンガルーを見かけます。またウォンバットなどは足が短いためフクロが地面にあたる事も。多産型ではこの頃に乳離れをし通常の餌に移行しますが、少産の場合はまだまだミルクと餌を半々といった所です。

因みに前述でフクロはメスにしかないと書きましたが、実は２種類だけオスがフクロを持っているものがあります。一つは南米にいる「ミズオポッサム」、そしてもう一つが絶滅してしまった「タスマニアンタイガー」。タスマニアンタイガーはすでにいないため詳しくは分かっていませんがオスのフクロは育児嚢ではなく、生殖器を守るための”パンツ”の役目をしていたとか…さすがタスマニア、変わったものがいたものです。

オスにはフクロがありません

タスマニア紀行

動物紀行：有袋類の不思議

Images courtesy of Tourism Tasmania: