この街道を完成させるのに最も困難だった理由のひとつが、豊かな水源から流れ出す数多の河川。ロスの村も例外ではなくマッコーリー川に面しています。現存するロスブリッジは1836年に完成しました。最初は現在の位置から330mほど南に1822年に架けられましたが、洪水によってダメージを受け新しい橋の架け替えが総督によって命令されました。未だに数多く現存する建物を設計した著名な建築家ジョン・リー・アーチャーが設計したものの、橋を架ける場所での意見がまとまらず工事は進みません。1832年になって場所が決定されると共に、設計上5つあったアーチを3つに減らすという変更を行い計画がようやくまとまったそうです。そこから完成までは更に3年という年月がかかっりましたが、それには2名の囚人の石工の力が大きく関与しました。この二人の囚人は橋の建設への貢献が認められ、その後自由の身となりました。

ロスブリッジは当時の建物に多く見られる、砂岩造りの美しい橋です。一時は「世界で最も美しい」と評された事もあるそう。この橋の大きな特徴であるトリプルアーチの側面のレリーフは、ケルト族のシンボルの動物やこの橋の建設に関与した人々で、石工の一人ダニエル・ハーバートの監督のもと彫られたそうです。橋の両側面の中央部に書かれているローマ数字（MDCCCXXXVI）は完成した年号1836を表していますが、建設から約200年が経ち、今では現存する橋としては国内で3番目に古い橋となりました。

タスマニア紀行

ヘリテージ街道とロスブリッジ

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